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2009年09月11日(金)

「江戸の幟旗」於・松濤美術館 [観る]

画像(129x180)・拡大画像(383x534)

長崎で見た節句の幟。図柄は鍾馗。

以前、日本民藝館で見て以来、2度目の「幟(のぼり)」の展示です。現代でも幟は神社や店頭表示で身近なものですが、展示されている江戸期に作られた幟はひと味もふた味も…、いや、次元がまるで違う存在。人々の切実な願いや祈りそのものが形になったような、圧倒される何かを放っています。

文字主体の幟・字幟の凄まじいまでの、ビリビリと"来る"書体。篆字も楷書もなにか音が鳴りそうな迫力があります。まるでこちらが天と対峙しているかのような神妙な心持ちになること必至。幟の中に蘭学者・杉田玄白によって書かれたものがあり、蘭学者好きの私はひとり感激したりもしました。

絵幟にはよくぞここまでという細やかさ・思わず顔がほころんでしまう明るさ・どこまでも広がる雄大な世界と、様々な魅力が混在していて見れば見るほどワクワクしてきます。親が子を大切に思う気持ちはもちろんのこと(多くは節句用に作られた)、絵師・職人たちが惜しみなく幟に注ぎ込んだ心意気も感じ、しみじみと心打たれる思いでした。

また、幟の特性からして当たり前なのですが、時には10メートルを超すような超・超縦長の画面には毎度新鮮な衝撃を覚えずにはいられません。海、象、宝船…巨大なものをこんな風に切って画面に美しくおさめるなんて! 心底感嘆。

解りやすく強いメッセージ性があり、何よりもただただ強烈に美しい。物を作る周辺の人は必見といえましょう。幟恐るべし。展示は13日迄。一般300円。図録1500円(内容充実)。


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2009年08月07日(金)

第七回亀治郎の会 [観る]

画像(180x127)・拡大画像(497x353)

最近見つけたかめ

いろいろたまったお仕事をなんとかかんとか片付け(また、これが楽しかったんです。いずれご報告いたします)その間、ずーーーーっと励みかつ楽しみにしていた「亀治郎の会」を観に行きました。
ラッキーにも大変よい席がとれまして、間近にて舞い、踊り、演技する亀治郎さんに見惚れっぱなしの数時間でした。細かな表情の変化や鋭い目線、美麗な衣装まで堪能し、いやーほんとに眼福眼福。ひさびさに歌舞伎ハンコを彫りたくなりました。彫るかどうかは別として。
亀鶴さんと亀寿さんも、これまで拝見したことのない味わいの演技で、大変魅力的でありました。

しかし、ほんの数メートル先とは思えないほど、舞台の上というのは別世界に見えます。すごくハッキリした夢のような。
初めて歌舞伎を観たときからその不思議な距離感、「垣間見ている感じ」に魅了され続けている気がします。ああ、次の舞台が待ち遠しい! (月末、納涼歌舞伎に行くのでわりとすぐなんですが)


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2007年10月20日(土)

OUR DAILY BREAD (邦題:いのちの食べかた) [観る]

試写会で観る。(於・オリベホール)
物語はない。セリフもない。刈り取られるトマト、掘削される岩塩、たくさんの豚、牛、鳥、魚……それらがどうやって「食べ物」になっていくのかという映画『OUR DAILY BREAD』。("いのちの食べ方"なる邦題はすきでない)

例えば、鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥鳥。みたいな光景が淡々と。「鳥」は豚や花にも入れ替わる。あんまりたくさん同じ字を書くと「こんなだっけ?」と不思議な気持ちになるけれど、映像でも同じなんだ!と実感する。なにがなんだかわからなくなってきてもなお、強烈な印象を与え続ける鳥の海。

こんなふうに書くとグロテスクな映画のようだけれど。実際、グロテスクなのかもしれないけれど。とにかく、見たことのない映像ばかりだから「これがこうなるの?」「そういうシステムなの?」「あれは何?」と、驚きやら想像やら不思議さが先に立って頭の中が「わーわー」と興奮して忙しい。
とはいえ、動物が出てくると一体どうなっちゃうのかドキドキしてしまう。そして農薬?らしきものが散布されている場面であっても植物が出てくると少し和む。そんなシーンの切り替え方も絶妙だった。

だだっぴろい場所でウィーン、と巨大ロボットのごとく動くメカ。ちゃっちゃか処理してゆく働く人々。なんてスゴイ日常なんだ!と反射的に思うのだけど、彼らにとってはごくごく普通の毎日なんだよな。とすぐ気付く。いやー、でもやっぱりすごいな。と思っているうちに映画は終わってしまった。ラストのあたりは最初から「きっとそうだろう」と思っていた予想通りの展開であり、絶対にセンチメンタルになりたくなかったのだけどちょっとなってしまった。私は彼らが好きなんだな。

実のところ、ちょっと空腹でホールに入った。「観た後どうなるのかな?」と思ったのだ。結果は…ちゃんとお腹が空いていた。業が深いととるか食いしん坊ととるか図太いととるか。全部なのかな。

◎上映前の小泉武夫、内澤旬子両氏のトークショーも面白かった。鯨の解体を子供に見せるとそれまで「鯨可哀想〜」と言っていた子らも鯨がどんなものか知ることができて、それ以前より鯨を好きになる(そしてちゃんと食べるのだとか)という…。内澤さんの「世界屠畜紀行」は10年間ほど取材期間があったそうで、大変楽しみにこれから読みます。(気付けばずいぶん前に買ってあった)

邦題はそのまま「日々の糧」の方がピンと来る。この映画はいのちの食べ方を説いているわけでも、強いているわけでもありません。

★11月10日から渋谷シアター・イメージフォーラムその他で上映開始。


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2007年09月14日(金)

ヨコハマへ [観る]

神奈川近代文学館に「佐藤さとるコロボックル物語展」を観に行く。今月、かなり時間がぎちぎちなので、行けないかも…と思い悩んでいたのだけど、ある朝「寝なければ行けるんじゃん?」と閃いたのでそのまま突っ走ってみた。(電車の中で爆睡)

「だれも知らない小さな国」はいつだったか、多分10歳前後に読んだやたら吸引力のある物語で、ふと眼前にあらわれたコロボックルたちが跳ね回るのを主人公と一緒になって追ううちにみるみる読み進んで行く。その最中も読み終えてからもものすごく満たされた。多分、多くの人が同様の体験をしたのだろう、今に至るまで根強く支持されている名作シリーズなのだ。そんな作品が生まれた背景や、佐藤さとるが作家になるまでの過程が、当時の写真や実際の原稿などの資料と共に並べられている。

印象的だったものがふたつあって、ひとつは幼少時に悪戯をした罰に書かされた「もう二度といたしません(うろおぼえ)」といった毛筆の反省文。用紙いっぱいにちらばった文字にコドモが拗ねたときの雰囲気があって面白い。横にはバーン、と押したときの音が聞こえそうな、墨色のてのひらが並んでいる。これは御本人にとっても印象的な体験だったようで、「てのひら島はどこにある」という作品に生かされているようです。

ふたつめは、戦時中に同級生と一緒に並んで写真。その頃、同級生たちに「戦争が終わったら童話を書く」と宣言していたとのこと。3,4人で並んで、和やかな表情をしている、なんてことのない写真なのだけど、強い未来への意思とその切実さが伝わってきました。「だれも知らない小さな国」もそのような強い意志を持って書かれた物語で、3年もの歳月をかけて繰り返し繰り返し推敲されたのだそう。”消しゴムで書く”という表現を使うほどだったとか。「消しゴムで書く」もさらっと印象深い、よい言葉。

こじんまりした会場だけれど、作家と作品に対して情熱を持ってまとめられた丁寧な展示。30日まで。大人400円。

●余談:すぐ近くの大佛次郎記念館もよいです。猫好きで有名な作家だからか?周辺に猫が多かったり。


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2007年08月09日(木)

天体航海 voyage on the planisphere [観る]

於:国分寺Roof

相変わらず暑い日。カフェでもある会場にたどり着いて、メニューを見るなり飲みたくなったのはレモンのリキュールをスパークリングワインで割ったやつ(名前は忘却)。飲むと思ったより濃くてしっかりお酒の存在感があって心地よい味。ついでに言えば店内の真っ白な壁は明るく、カーブをえがいた天井もひろびろと心地よかった。

そして、その中にスパン社さん・孔雀洞雑貨舗さんの作品は自然に馴染みつつどれもきらきらした雰囲気を放っていました。会場の全体が天体(プラネタリウムみたいな)っぽい雰囲気。
それぞれが制作された、スノードームや小箱などにいくつかのモチーフが並んでいる作品が、どこかの小さな星の風景を見ているようで特に楽しかった。本当に旅に出たような気持ちになれました。
12日まで。


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プロフィール

西イズミ

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豆本と猫雑貨製作

西イズミ

http://www.tobiraya.net/
twitter : @brunnen_
インドアな本好き。猫の飼い主、豆本作家、雑貨作家、イラストレーター。
現在3冊の既刊があります。その他、猫関係のお仕事をときどき雑誌やテレビでしております。
☆「猫がよろこぶ手作りグッズ」(WAVE出版)
☆「猫との暮らしを楽しむヒント228」(河出書房新社)
☆「作ってあげたい猫の首輪」(河出書房新社)

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